短大の幼児教育専攻科で、非常勤講師をしています。
授業の多くは、保育と小児医療の関わり、が中心で、保育園に預けて働く親の気持ちだったり、啓発と子どもの事故についてだったり、様々に考えたり感じたりする時間をとっています。
ほとんどが保育士さん志望で、1割ほどが学童の先生や障害者施設で働く予定の学生さん達です。
先週は、「医療情報の見分け方」の授業でした。
科学的に根拠のない情報をあたかも真実かのように悪びれず、むしろ良かれと思って流すことがある、そういう情報が世の中にある、ということ自体、思ってもみなかった、という学生さんもいます。
素直で、素直なことはとてもいいことだけれど丸ごと信じてそしてシェアをする。それがその先に取り返しのつかない命のことだった話などを伝えます。
自分から遠い話であればあるほど騙されない。「そんなのおかしい!」とわかる。
でも、じゃあこんなケースは?と自らの問題に近いことだと、あっという間に騙されてしまう、その可能性があるんですよね。自分のコンプレックスだったり子どものことで悩んでいるときだったりすると簡単に解決してもらえそうなもの、だとか。
今年も最初に見るべきポイントの講義を少ししたあとに、がんの記事を2本、母乳の記事を2本、各自読んだ後、みんなでこれが根拠になるのではないか?と考えてもらって話が進みます。
昨年と同じく、どちらの記事も正しいと思う学生達がいます。
知らない人から見たら、同じ土俵の上、であることを私が感じる瞬間です。
でも、真逆の記事を信じたばかりに悲しいことになる場合もあります。
毎年のことですが、医療情報の授業は全員真剣に取り組みます。
それだけ、身近なんですよね。
良い情報だからと、安易にシェアをしない。ちゃんと読む。出典を確かめる。面倒だけれど、人の命がかかっていることだということ。
文章を読んでみて、自分が「ここが根拠になる」と思った点、たとえば写真があるからこっちが正しいのでは、この画像はテレビ局の名前が書かれているからこっちが正しいのでは、・・・そんなふうに各々学生たちは発言したのですが、自分が「根拠になるかも?」と思った点については、自分がどんな情報を信じやすいかということが今の時点でわかる、ということが大切だと思います。こういう情報に流されやすい、と今の時点で知るということ。
そして、明らかに科学的には間違った情報を持って親御さんが保育士を尋ねてきたときにも、どう対応するか。
そこを伝え、話し合いますが、見極めるちからをつけること、と同時に、その情報を持った人とどう向き合うか、どう伝えるか、が一番大切なんじゃないかなと思い、この授業をしています。